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ジョン・レノンがその絵画を自宅に飾ったとされる画家「白隠慧鶴」の『白隠展』

ジョン・レノンがその絵画を自宅に飾ったとされる画家「白隠慧鶴」の『白隠展』


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かつてジョン・レノンがその絵画を自宅に飾ったとされ、また村上隆は同じ表現者としての賛嘆・共感から模写にも挑んだという画家が、江戸時代にいました。正確には、画家ではなく禅僧。白隠慧鶴(はくいん・えかく)は禅の教えを広く世に伝えるため、型破りな書画をいくつも残した奇才です。その作品群は、人生の処方箋として大名や庶民にまで広く描き与えられたものでもありました。時代も国境も超えて人の心を惹き付けるその魅力とは?

そこで今回は、モデル・女優のKIKIさんと一緒に、白隠の傑作が全国から一堂に会する、Bunkamuraザ・ミュージアムにて2月24日まで開催中の『白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ』を訪ねてみました。旺盛な行動力と好奇心でアートの世界を楽しむ彼女の心に、白隠禅師のメッセージはどう響いたのでしょう? KIKIさんと一緒に、時空を超えた禅画の旅へと出かけます。

PROFILE

KIKI
1978年東京生まれ。モデル、女優。武蔵野美術大学建築学科在学中からモデル活動を開始。雑誌やTVCM、連載などの執筆、ラジオのパーソナリティやアートイベントの審査員など多方面で活動中。2004年、塚本晋也監督作品『ヴィタール』で女優としての活動をスタート。MBS系連続ドラマ『漂流ネットカフェ』でのヒロイン役として出演。現在は『NHK高校講座芸術-美術』の司会、日テレ系『ゆっくり私時間-my weekend house-』に出演中。近著に『山スタイル手帖』(講談社)、『美しい教会を旅して』(マーブルトロン)、『山・音・色』(山と渓谷社)など。雑誌『OZmagazine』(スターツ出版)の表紙と巻頭モデルを2009年より務めている。
KIKI’S TERRITORY

孤高の「自由すぎる画業」に秘められた奥深さ

白隠慧鶴(1685~1768)は江戸中期を生きた禅僧。臨済宗を広く流布した高僧であった彼は、禅の教えに基づいた書画をゆうに1万点以上残しました。その作品は、型破りの迫力や微笑ましいユーモアで観る者を惹き付け、禅のメッセージを届けます。今回の展覧会は、そんな白隠の世界を全国45か所から厳選した約100点で体感できる、史上初の試みです。

KIKI

KIKI

会場入口をくぐると、いきなり高さ約2メートル、目つきの険しい迫力の達磨(だるま)像『隻履達磨』が。その強烈な画風の洗礼を受ける出会いです。手がけた人物画の多くに自画像的要素もあるとされる白隠。死後に現れた達磨の亡霊を描いたこの絵は、さながら21世紀の観衆を白隠さん自らお出迎えする形? 白隠について「名前は聞いたことがあったけれど……」と語るKIKIさんも、その迫力に導かれるように、凛として歩みを進めます。

『隻履達磨』龍獄寺(長野県)

『隻履達磨』龍獄寺(長野県)

最初のセクションでは、禅=難解な問答を繰り広げる仏教の一派、という先入観を覆すような、伝統や因習にとらわれない自由闊達な画業を目の当たりにできます。

KIKI:描かれているお釈迦さまも観音さまも、どこか人間っぽくて、かつ絵に動きがありますね。

『観音十六羅漢』寳林寺(山梨県)

『観音十六羅漢』寳林寺(山梨県)

確かに、威厳ある仏教開祖・お釈迦さまを荒行直後の髭ぼうぼうの姿で描いたり、世を救うはずの観音さまが蓮池でまったり休憩していたり。KIKIさんは興味深げにその様子を見つめます。

観音さまにも苦言を辞さない、常識にとらわれない批評精神

多くの絵の端には、短い詩文「賛(さん)」も綴られています。たとえば釈迦像の賛にはお釈迦さまが苦行の後に下山する情景描写が。ところが前述の観音様の絵には「こんなところで骨休めしているとは……」的なことが書いてあるそう! 白隠にかかっては観音さまもうっかり仕事をさぼれません。KIKIさんも思わずクスリと苦笑い――。確かに人間っぽい親しみがわいてきます。ちなみに白隠の描く観音様には自らの母親像も重ね合わされているとか。

『蓮池観音』個人蔵

『蓮池観音』個人蔵

善・悪などの対立項を表裏一体ととらえる禅の世界観も、白隠は大胆に描いています。『地獄極楽変相図』には、裕福・高貴な身に生まれた者も、贅沢三昧で民衆を苦しめると必ず地獄に落ちる、というメッセージが込められています。

『地獄極楽変相図』清梵寺蔵(静岡県)

『地獄極楽変相図』清梵寺蔵(静岡県)

ここでKIKIさんがあることに気付きました。様々な地獄の情景の横には解説用か短冊形の空白がありますが「文字が入っているのは1か所だけ?」。地獄で大蛇に責め苦を受けている男を説明するその文言は「世間メカケモチ(妾持ち)」。ある意味未完の大作と言えそうですが、まずは愛人を囲う者を戒めた白隠さん、男女関係については時代に先んじたモラリストだったのかもしれません。

KIKI

KIKI:こう言っていいかわからないですけど、何だか極楽より地獄のほうが賑やかで楽しそうに見えたりもして……不思議な絵ですね。

その大胆な感想も、実は見当違いではなさそうです。すぐ側に掲げられた大型の書には「南無地獄大菩薩」。ふつう「南無~」に続くのは「阿弥陀仏」のようにありがたい存在のはずが「地獄大菩薩」とは一体? ここでも、一見対極的な存在も皆全て、実は人の心に映ったもので、表裏一体だと示唆しているようです。

『南無地獄大菩薩』個人蔵
『南無地獄大菩薩』個人蔵

なお、この展覧会の監修者である美術史家の山下裕二先生によれば、「Imagine there’s no heaven……」と始まるジョン・レノンの名曲“IMAGINE”も、何とこうした白隠思想に影響を受けたはずとのこと。実際、映画『IMAGINE』ではジョンの自宅に白隠の達磨絵が飾ってあるシーンも見られるそうです。

(c)cinra.net http://www.cinra.net/column/hakuin2013.php

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