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音楽鑑賞の主役をCDとネットの音楽配信に譲ったアナログレコードの市場が、ここにきて俄然(がぜん)熱を帯びている。
今年の生産枚数は、CDより大幅に少ないとはいえ前年同期比で7割増加。拡大するシニアマーケットに注目が集まる中、デビュー50周年のザ・ビートルズの全集や、結成50年のザ・ローリング・ストーンズの高音質LPの発売も予定され、アナログに郷愁を感じる中高年に加え、新たなファンを獲得しそうな勢いだ。
日本レコード協会によると、今年の1~9月のアナログディスクの生産枚数は23万8千枚で、前年同期比69%増。邦楽は58%増だが、洋楽に限れば96%増でほぼ倍増となっている。
注目のレコードも多数リリースされる。EMIミュージック・ジャパンは14日、ビートルズの14枚組ボックスセット(5万9800円)を発売。同社マーケティング2部の大島隆義チーフプロデューサーは「もともとアナログで発表された作品。ビートルズが目指したサウンドを楽しんでほしい」と話す。
ユニバーサルミュージックは、盤面への着色をやめるなど素材から音質にこだわった「100%Pure LP」の第1弾として、12月12日にローリング・ストーンズの「スティッキー・フィンガーズ」、ジャズの巨人、ビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビイ」など15タイトル(各5800円)を発売する。
プレーヤー市場も健在だ。DENONは毎年2万台以上のアナログプレーヤーを安定的に生産。一昨年に同社の100周年を記念して約30万円の高級プレーヤーを500台限定で発売したところ、すぐに完売した。LPの楽曲をデジタル圧縮した「MP3」に簡単に変換できるプレーヤーも登場するなど、楽しみ方の幅も広がっている。
アナログレコード市場が再拡大している理由について、ディスクユニオンJAZZ店舗統括責任者の塙耕記さんは「CDなどより音が良いことを評価する人が増えている。大きな紙のジャケットを手にする喜びも捨てがたい魅力となっているのでは」と話している。(櫛田寿宏)
(c)sankeibiz http://www.sankeibiz.jp/business/news/121110/bsc1211101341008-n2.htm
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